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私たちはふだん、あたりまえのように、昼間に観光している。朝、出発して、真昼間にいろいろ見てまわり、夕方になるまえにチェックイン。あとは宿の中や明るい繁華街で過ごす。
だが、月夜のためにあるとすらいえる銀閣寺や嵐山の渡月橋、高知の桂浜(桂は月を意味する)のようなところはもちろんのこと、本来夜に観光するもの、夜に観光したほうがいいところがたくさんある。そういうところへ昼間にしか行かないというのは、ちょっとマヌケな話だ。
日本の風景のほとんどは、夕方から朝方までの薄闇-闇の時間に、最も美しくなる。昼間は、どうということはないなと思った風景が、夕暮れから夜になると、信じられないほど幻想的な世界をつくり出す。その多くは私たちは見逃してしまっている。
昼間の観光地が見せない夜姿。夜の灯りの中で異彩を放ち出す小さな町。果てしない闇の中で小さな生物の光が明滅する山や海。
夜は人と風景をゆったり包む。夜こそ観光の時間、光を観る時間だ。夜の森へ、夜の島へ、夜の滝へ、夜の村へ、夜の路地へ行こう。
そして、昼の中にも夜がある。深い闇をたたえる洞窟や地下採掘場、深海などは、二十四時間いつも夜の、常夜の世界だ。日が沈むまで、ボーッと夜を待っている必要はない。夜へ行こう。夜は夜を楽しんで、昼は夜を楽しもう。
サイトシーイング(sightseeing)からナイトシーイング(nightseeing)へ。夜の闇と光にじっくり浸り、日本の夜を発見する、新しい旅に出よう。
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